【検証】現役エンジニアが液晶タブレットを6か月間仕事で使ってみた

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発端

機構設計者が3DCADで何かを設計していくときには、ほぼ必ず「メモ帳などにイメージ図を描く」という行為を行うと思います。筆者自身も例外でなく、各種寸法などのイメージはいったん手元で書いてからソフト上に反映していきます。他の部品との干渉や勘合という面でも、メモ程度に残しておいて設計することが多々あります。

一方で、「ペーパーレス化」という流れが様々な業界で言われて久しいです。資料を印刷するのではなく、PC上のファイルで閲覧したり、領収書を電子化したりと様々な取り組みがなされています。

そんな中で、設計時のメモも「ペーパーレス化」できないかと考えたのが液晶タブレット導入の発端になります。

なぜ液晶タブレット?

電子ペーパーや電子メモ帳といったものは、世の中に数多く存在しています。iPadなどのタブレット端末もメモ帳として活用できるデバイスになります。

その中でなぜ液晶タブレットを使用することにしたかというと、液晶タブレットは、PCの拡張モニターとしても簡易に使用できるため、PC上に手書きメモを残すということが簡単にできるためになります。

タブレット端末などを使うと、どうしても専用アプリでクラウド連携をしないといけなくなったりするのですが、それが少し手間だなぁと感じたからです。

液晶タブレットであれば、PC内に直接データを残せたり、資料に直接書き込んだりできるため、仕事上では便利だと考えました。

どの液晶タブレットにするか

さて、液晶タブレットを買うにしても、メーカーやサイズごとで無数の商品が存在します。

どれにしようか迷ったのですが、最終的に『XPpen Artist12セカンド』にしました。正直、液晶タブレットの違いにはあまり詳しくなかったのですが、デスクの上においても邪魔にならない大きさと、価格感で選びました。

XP pen Artist12セカンド 仕様

スペック

寸法:345mm × 209mm × 12mm

画面サイズ:263mm × 148mm

画面解像度:1920 × 1080

色域:90% NTSC, 127% sRGB, 94% Adobe RGB

コントラスト:1000:1

輝度:220 cd/㎡

筆圧レベル:8192

搭載ポート:1×フル機能USB-C, 1×USB-C

価格:\28,000程度

外観

実際に使用した感想

良かった点

接続の簡便性

PCへの接続が最小でUSB一本で済むという簡便性が良いと感じました。

また、HDMIとUSB Type-Aを用いた接続方法も可能なので、基本的に接続できないPCはないと思います。PC側は2本のケーブルを差さないといけなくなりますが、液晶タブレット側は一本のケーブルで済むので、デスク上は非常にすっきりさせることができます。

出典:XPpen HP
出典:XPpen HP

なめらかな書き心地

液タブはPCで絵を描くことを意識して設計されていることもあり、ペンの滑り具合がちょうどよく、紙と比べて書き心地として違和感なく使うことができています。また、ペンの動作と筆跡の追従性もよく、ラグが少ないことも、違和感低減につながっていると感じます。

誤作動の少なさ

通常のタブレットでは、指などが触れただけでも誤作動することがありますが、液タブはペンを使わない限りは反応しないような設計になっており、デスク上に液タブを常備しておいてもメモ以外で誤作動することがなく非常に快適です。

いまいちな点

使用時は基本デスク据え置き

液タブの避けられない特徴として、PCとの有線接続が必要という点が挙げられます。基本的にデスク上で作業を完結させる場合にはまったく気にはなりません。しかしながら、少しデスクを離れてメモを取ったりしようとすると、ケーブルの取り回しが必要になるので、非常に不便になります。

この辺りは、液タブと電子メモ帳やタブレットとの使い分けになると感じています。

デスク上で作業が完結する人は「液タブ」、取り回しを優先する人は「電子メモ帳・タブレット」といった感じかと思います。

本体サイズに対して画面が小さい

これは液晶タブレットの作り上、どうしようもないものなのかもしれませんが、本体のサイズに対して、実際に使える画面のサイズが小さいです。

ですので、画面サイズよりも一回り大きなスペースが必要になります。デスク上にスペースがない場合にはなかなか使いづらい点ではないでしょうか。

出典:XPpen HP

結論

実際に半年ほど使ってみた感想ですが、正直「これがあれば仕事が捗る!」というほどの実感は得ることができませんでした。

持っていて困るものではないですが、仕事効率が上がった感じは得られませんでした。

業務の内容にも依存するとは思いますが、筆者のような3DCADでのメカ設計をメインとした業務においては、思ったよりも使い勝手が良くなかったと感じています。

ただ、なかなかうまく使いこなせなかったという部分も反省点ではあります。メモには基本的にOnenoteを使っていたのですが、画面のスクロール操作がボタンを用いないといけないのが思ったより不便でした。

ペン以外では反応せずに誤作動が少ないというのがメリットではあるのですが、タッチパネル式のノートPCやタブレットのように、指でスクロールできた方が使いやすいかなぁといった感じです。

また、意外とメモを取るときにはタブレットを動かしたくなるということが分かりまして、その点で、有線接続されている液晶タブレットは取り回しの点でいまいちと感じました。

以上、エンジニアが実際に液晶タブレットを仕事で使ってみたレビューでした。

業務内容が異なれば、使用感も変わってくるとは思いますので、あくまで一意見として参考になれば幸いです。

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